40代のための職務経歴書・攻略法

20年ぶりに、パソコンでWordの真っ白なページを開き、「職務経歴書」作成します。 そして、手が止まります。

「スキル・資格」の欄が、こちらを無言で見つめています。 うんうん唸って、頭に浮かんできたのは、ただ一言。 「普通自動車免許」。

笑い話のようですが、こちらの心は全く笑えません。

もちろん、20年間何もしてこなかったわけではないのです。 頭の中には、ぼんやりと記憶が浮かびます。成功させたプロジェクト、手塩にかけて育てた部下、難航した部署間の調整…。

しかし、それをどう言葉にすればいいのでしょうか? どこまでが「成果」で、どこからが「ただの業務」なのでしょうか? そもそも、書き方のルールなんて、20年も前に忘れてしまいました。

この記事は、そんな「書くことがない」と絶望している、かつての私のようなあなたのための攻略法です。 私たちが会社に捧げてきた、目に見えない20年という経験を、採用担当者に突き刺さる「武器」へと変えるための、具体的な方法を解説していきます。

あなたの「当たり前」は、他社が喉から手が出るほど欲しいスキルだ

20年も会社にいれば、誰もが「当たり前」のようにこなしている仕事があります。 誰もやりたがらないクレーム処理。意見が対立する部署間の調整。なかなか育たない部下の面倒…。

これらは資格のように名前がつくものではありません。しかし、それこそが、20年の経験を積んだベテランだけが持つ、本物の「ポータブルスキル(どこでも通用する能力)」なのです。

問題は、その価値に自分自身が気づいていないこと。 そして、それを「物語」として語る方法を知らないことです。

「スキル」を「物語」に変えるフレームワーク

あなたの経験を、採用担当者に突き刺さる「武器」に変えるには、以下の3つの要素で語るのが最も効果的です。

  • どんな「困難な状況」で (Situation)
  • あなたが「具体的にどう行動」し (Action)
  • その結果、どう「改善」されたか (Result)

このフレームワークに当てはめるだけで、あなたの抽象的なスキルは、具体的な価値に変わります。

例えば、多くの40代が当たり前のように持つ「責任感」。 これを、このフレームワークで「物語化」してみましょう。

具体例①:部署間の調整(調整能力)

ダメな例: 調整能力:各部署との調整を図り、円滑な業務推進に貢献しました。

良い例:

(状況)仕様変更を巡って、意見が対立していた営業部と開発部の板挟みとなり、プロジェクトが停滞していました。

(行動)私が調整役となり、両部署合同の週次定例会を主催。共通の課題管理シートを作成・運用することで、お互いの進捗と課題を「見える化」しました。

(結果)最終的に、プロジェクトを納期より2週間早く、予算内で完了させることができました。

具体例②:部下の育成(リーダーシップ)

ダメな例: リーダーシップ:チームリーダーとして、部下の指導・育成に力を入れました。

良い例:

(状況)私がリーダーを務める営業チームで、若手3名が目標を達成できずに伸び悩んでいました。

(行動)週1回の1on1面談を導入し、各個人の課題をヒアリング。それぞれの強みに合わせた営業スタイルを一緒に模索し、OJTを体系化しました。

(結果)半年後、指導した3名全員が営業目標を120%達成するまでに成長し、うち1名は新人賞を受賞しました。

具体例③:日々の業務改善(課題解決能力)

ダメな例: 課題解決能力:日々の業務における課題を発見し、改善を提案しました。

良い例:

(状況)従来、手作業で行っていた月初の報告書作成に、毎月約20時間もの時間がかかり、チームの残業の原因となっていました。

(行動)Excelマクロを独学で習得し、報告書の自動生成ツールを自主的に作成。チームメンバーが誰でも使えるように、簡単なマニュアルも整備しました。

(結果)**報告書の作成時間を月20時間から約1時間に短縮することに成功。これにより、チーム全体の残業時間を大幅に削減し、他のコア業務に集中できる環境を整えました。

このように、「責任感」という言葉を一切使わなくても、あなたの素晴らしい仕事ぶりや人間性が、生き生きとした物語として採用担当者に伝わるのです。

この記事を片手に、ぜひあなたの20年間の経験という宝の山を、掘り起こしてみてください。 あなたが「当たり前」だと思っている仕事の中にこそ、次のキャリアを切り拓くための、最高の武器が眠っているはずです。

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